奇岩城 (新潮文庫―ルパン傑作集)
モーリス・ルブラン
新潮社
1959-12-02




◆世界のヒーロー、アルセーヌ・ルパン



ルパンの冒険シリーズ第三弾の奇岩城を読みました。

モーリス・ルブラン作で、今回読んだのは堀口大學氏訳によるもの。

 

ルパンといえばルパン3世を連想しちゃう悲しき日本人なのですが、そのルパンのおじいさまにあたる世界の大泥棒ですね。

いや泥棒っていうとちょっとニュアンスが異なりますね、やはり「怪盗」 がいちばん彼にふさわしい冠言葉でしょう。



◆翻訳もの風に書くとこうなる


 

このルパンのシリーズは好きで何冊か持っていますが、やはり古いものだけあって翻訳が凄いです。

まあ昔の翻訳モノはどうしたってそんなもんですし、Oヘンリとか読んでた人は普通に慣れちゃうと思いますが。

 


「ねえ君、きみは僕のしようとしたことを知らなければならないよ、なぜって君、きみがそれを知ろうとすることで僕が何を君に伝えたかったかがおそらくは驚くほど明確にかつ直接的に、それを知ることによって君はそれをより深く理解することができるだろうはずだからさ、まるで僕が実際に君にそう伝えようとでもしたかのように。」

 

とかいう文章がえんえん書かれています。


つまりいわゆる純粋なる英文和訳ってやつですね。慣れるとこれはこれで面白いです。

翻訳モノはダメって人の気持ちもわかりますが、わたしは結構こういうのもイケるくちです。

シドニィ・シェルダンあたりから格段に翻訳モノは良くなりましたよね、超訳なんて言われるわけです。



◆子供向けと大人向けはだいぶ印象が変わる



ルパンのシリーズは小学生の頃図書室ですっかり読み漁りました。

ですがそれは子供向けにわかりやすく書きおろされていたバージョンで、大人向けのものは上記のような文体なので読むには結構な根性が要ります。印象も変わりますし。


でもどちらもそれぞれの世代にきちんと入ってくるというか、どう描かれてもやはり変わらずスマートでカッコイイ「怪盗」なのです。



 

世紀のヒーローみたくイメージ持っていますが、実はルパンはたいへん人間臭いです。

この奇岩城では恋するルパンが見られます。

おなじみガニマールとホームズさんもご出演なさってます。


逆転につぐ逆転という構図も刺激的ですし、期待通りで期待はずれのラストもよかったです。

 

 

ルパンはガチガチの翻訳内容からでさえ情景が見えるようなモノですばらしい娯楽作品だと思う、そう、娯楽なんだよね、文学じゃなくて。

 

ってなんか書き口も翻訳文みたいになってます。