乱読派の読書メモ

本好きの本好きによる本好きのための読書記録

2018年09月




きょうは漫画をご紹介。最近読み返したので。


松本潤主演でドラマ化もされていた「バンビーノ!」全15巻。
イタリアンに魅せられた青年が最前線の大繁盛店で働くお話です。


お料理がおいしそう、若者の成長するさまやそれをとりまく人間模様が面白く、流行るのも納得なのですが、個人的にはレストランのいろんな描写が特に面白く読めました。
厨房に入る前にホールで修行する、というのも、実際にフレンチを志していた友人に聞いたことのある話と重なって。


レストラン=Resr&Run、というものの存在意義や立ち位置など、いろんなことを考えさせられます。
もちろん漫画ならではのいろんなオイオイという描写もありますが、漫画に求めるのはリアリティではないですもんね。
そういうところが、漫画と小説の異なる点なのかもしれません。


絵で楽しく、キャラ立てで楽しく。
短い時間で情報量が凝縮されたものとして楽しめる。
漫画には漫画の良さがありますね。


話がそれましたが。


料理漫画はわりと好きです。「美味しんぼ」や「ミスター味っ子」などはどれも長い間楽しく読んでいました。
それらと比較しても、おいしそうなイタリアンの絵、イタリア語満載。キャラも魅力的で、お話も一話完結ではなくちゃんと通して主人公の成長物語になっているので、読み進めるのが飽きません。


セカンドシーズンも読んでみたいですね。


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◆四季を通して


1年を通して雛形となる形を備えた連作ミステリー。

この人の文章は以前どっかで短編を読んだきりだったのだけど、思ったよりスマートでした。

表現もところどころグッとくるものもあって、もっといろいろ読んでみたい気持ちにさせられます。

 


春夏秋冬の四話それぞれの冒頭にはお約束の雛形があり、タイトルもそれぞれ登場人物にも係ったシャレた造りになっています。

個性的でコミカルな登場人物も、どぎつすぎない設定と描写も魅力的です。



◆事件が悲劇的すぎないからふざけた推理も冴えわたる



ここで起きる「事件」は、連続殺人みたいな派手なものではありません。

ちょっとした人間同士のズレから起きるささやかな事件がその主。

ともすれば退屈に陥る危険性のある「舞台」で、じょうずに読者の手を引いてくれます。


カササギ氏のズレた推理と、そこへ修正する主人公の黒子の努力が思わず読み手の「ニヤニヤ笑い」を誘います。



◆愛すべき若者たちの魅力満載



3人の主役級+1人の強烈な脇役という構図で話が進んでいくのですが、この3人の主役級はいずれも言ってみればイマドキの若者。

この彼らのなんと愛おしいことよ。


この本には昭和のホームドラマのような温度感があります。

ご都合主義のところやコミカルに過ぎる部分さえ、アハハと笑って許せる空気感。

それらもひっくるめると、この本はミステリーやサスペンスというカテゴライズには当たらないかもしれません。



全体を通して、べたつきのないサラッとした読後感です。

それぞれ1作ずつでも楽しめますが、4作にしっかり流れがあり、コンパクトにまとまっていて清涼感のある作品でした。

 

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地下鉄に乗って (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社
1999-12-01


◆第16回(1995年) 吉川英治文学新人賞受賞


浅田次郎氏らしい、丁寧に優しい文体で書かれたファンタジーとノスタルジーに溢れた1冊。


地下鉄駅の階段をあがると、そこはなぜか30年前。

タイムスリップものと呼んでいいのか、タイムスリップが「地下鉄に乗る」ことではなく、「駅から地上に出ることで」起こるところが、実際に地下鉄駅を使った時の独特な感覚につながって面白いです。


淡々と綴られる文章に、優しい涙がこぼれちゃいます。



◆ファンタジー+ノスタルジー



主人公が地下鉄駅からあがるたびに何度もタイムスリップしを繰り返しながら、どちらの時代にも上手に溶け込み、けして仲がいいとは言えない知らなかった父の過去をはじめ、30年前の時代の空気と熱に触れてさまざまなことを考えていきます。



読み手も主人公と一緒に、30年前の街並みに溶け込むことができます。

レトロな雰囲気に、その頃を直接知らない世代でも懐かしさを感じます。



◆少し切ないラストは…



時代を行き来する感覚は面白いです。

この人は本当に筆の質が柔らかいというか、ふんわりした優しさとミント感というか渡る風に一抹の切なさが香る感じがほんとうに独特で、読後にもその余韻が残ります。

 

 

ただしこの作品のラストは、少しほろ苦いと言うか。

あんまり書くとネタバレになっちゃいますね。

ですので、読後の「爽快感」という意味ではあまりお勧めできません。



読み終わった後にすこしあたたかいけど苦しいものが、胸の中に残ります。


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